世界37カ国調査で判明、日本を含む大半の国で「AIは雇用喪失をもたらす」と予想

世界的なAI普及と雇用への懸念:ピュー研究所の最新調査

人工知能(AI)技術の急速な進化と社会への浸透が進む中、世界中の人々がAIの普及に対してどのような意識を抱いているのかが明らかになりました。アメリカのピュー研究所(Pew Research Center)が実施した大規模なグローバル調査により、日本を含む世界の大半の国々で、「AIは雇用の増加ではなく、雇用の喪失を引き起こす」と予想されていることが判明しました。

この調査は、2026年初頭に世界37カ国を対象に実施され、同年9月17日にレポートとして公表されたものです。調査結果からは、技術革新への期待の裏にある、労働市場への強い不安が世界規模で共通している現状が浮き彫りになっています。

テクノロジーの変化について考えるオフィスワーカー

37カ国中34カ国で「雇用減少」の予測が優勢に

ピュー研究所は、2026年2月8日から5月13日にかけて、世界36カ国の42,151人を対象に調査を行いました(米国については別途調査を実施)。その結果、調査対象となった37カ国のうち、実に34カ国において、人々はAIが将来的に雇用の増加をもたらすよりも、雇用の減少(雇用喪失)につながると信じる傾向があることが分かりました。

この傾向は、先進国から新興国に至るまで広範に見られ、AIの導入が労働者に与える影響への懸念が、国境を越えて共有されていることを示しています。技術の進歩が新たな産業や職種を生み出すという楽観論よりも、既存の業務が代替されることによる失業リスクへの懸念が上回っているのが現状です。

日本でも半数近くが「雇用喪失」を予想

日本国内における意識も、世界的なトレンドと同調しています。今回の調査において、日本国内の回答者の49%が「AIが雇用喪失を引き起こす」と回答しました。日本は少子高齢化に伴う深刻な労働力不足に直面しており、業務効率化や省人化の手段としてAIへの期待が高まる一方で、個人の雇用継続や職種の存続に対する不安も根強く存在していることが示されています。

米国では71%が「今後20年で雇用が減少する」と回答

AI開発をリードする主要企業が集中するアメリカ合衆国では、さらに強い警戒感が示されています。2026年6月22日から28日にかけて米国で実施された調査によると、米国の成人の71%が「AIは今後20年間にわたって米国内の雇用を減少させる」と考えていることが明らかになりました。

また、日常生活におけるAIの利用拡大に対する意識についても、期待より懸念が勝る傾向が見られます。2026年6月に実施された米国の成人を対象とした調査では、民主党支持者の56%が、日常生活でのAI利用の増加について「興奮(期待)するよりも懸念している」と回答しました。これに対し、共和党支持者においても約半数(約50%)が同様に懸念を示しており、支持政党を問わず、AIの急速な普及に対する警戒感が広がっていることが伺えます。

この調査結果が意味するもの:企業や労働者への影響

今回の調査結果は、AI技術の社会実装を進める企業や政策立案者にとって極めて重要な示唆を含んでいます。AIの導入は生産性の向上や業務の効率化をもたらす一方で、労働者の心理的な不安を増大させる要因にもなっています。

企業がAIツールや自動化システムを導入する際には、単なるコスト削減や効率化の文脈だけでなく、従業員のリスキリング(技術の再習得)や、AIと人間が協調して働くための環境整備など、雇用不安を和らげるための具体的なアプローチが求められることになるでしょう。また、社会全体としても、技術の進歩がもたらす恩恵をどのように分配し、雇用の急激な変化にどう対応していくかという議論がさらに重要性を増していくと考えられます。

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