AIによるサイバー攻撃の現実と「防御側優位」の論理
生成AIの急速な発展に伴い、サイバー攻撃者が攻撃の自動化や効率化にAIを悪用するケースが増加しています。プログラミング言語PHPの脆弱性について、AIを使った攻撃者による悪用に注意するよう米OpenAIなどが呼び掛けています。
こうした状況の中、2026年10月22日に「長い目で見れば防御側が有利」はなぜ? 守る側のAI活用法、本命は Webセキュリティ専門家に聞く という記事がITmedia AI+で公開されました。クラウド型WAFを開発するビットフォレストの取締役でWAFの開発責任者を務める佐藤匡氏は「長い目で見たら、防御側の方が有利だと思う」と語っています。なぜ攻撃手段が高度化する中で守る側が有利と言えるのか、その背景と具体的なAI活用法を整理します。
確認されたAIエージェント攻撃の実態
攻撃側でのAI悪用は、すでに実際の脅威として確認されています。ビットフォレストは10月14日に、攻撃元がAIエージェントかどうかを判定する仕掛けをWAFに組み込み、日本企業のWebサイトへのAIエージェントによる攻撃を少なくとも3つのIPアドレスから確認したと技術ブログで報告しました。
攻撃者がAIを活用して自動的に標的を探し、脆弱性を突こうとする動きが現実の環境で発生していることが判明しています。
なぜ「従来のWAF」で防御可能なのか
AIを使った攻撃と聞くと、これまでにない未知の手法で防御を突破されるのではないかという懸念を抱きがちです。しかし、AIが新たな攻撃ジャンルを生み出したわけではなく、Webサイトへの攻撃はSQLインジェクションやクロスサイトスクリプティング(XSS)など従来のジャンルに分類されるものです。
AIが実行するのは従来と同種の攻撃であるため、従来のWAFで十分止められます。AIによる攻撃かどうかを見分けることは、防御する上では基本的に意味がなく、攻撃してくるものは全部止めるのが防御側の仕事であるためです。
AIエージェントと判定した通信を一律に遮断する選択肢もあるが、今後は正規ユーザーがAIエージェント経由でサービスを使う場面が増えるため中長期的には有効な策ではない。

守る側の「本命」となるAI活用手法
では、守る側はAIをどのように活用すべきなのでしょうか。守る側のAI活用として一番良い方法にコードベース全体の脆弱性チェックが挙げられており、クラウドで提供されるクローズドモデルはペネトレーションテストの依頼を拒否することが多いためオープンウェイトモデルをローカルで動作させるのが向いているとされています。
自社で開発・運用しているソースコード全体をAIに解析させ、潜在的な脆弱性を事前に洗い出して修正することで、攻撃を受ける前にセキュリティを高めることが可能になります。
まとめ:変化するセキュリティ環境への向き合い方
AI悪用攻撃の登場は脅威ですが、攻撃の本質は従来のWebセキュリティの延長線上にあります。攻撃の手法そのものが劇的に変わったわけではないため、既存のWAF等の防御策を適切に運用し続けることが第一の防衛線となります。
一方で、防御側としてもオープンウェイトモデル等を活用し、ローカル環境で事前コードチェックを行うなど、能動的なセキュリティ向上策を講じることが可能になっています。基礎的なセキュリティ対策を徹底しつつ、自社の開発プロセスにAIチェックを組み込む姿勢が求められています。


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