結論:物理シミュレーションの精度と基盤を軸にMODSIMとAIの統合を推進
製造業における製品設計・開発プロセスが急速に進化する中、ダッソー・システムズはシミュレーションブランド「SIMULIA」の技術ビジョンを一層明確に打ち出しました。同社は、長年培ってきた高精度な「物理ソルバー」を強固な基礎としながら、モデル作成とシミュレーションを融合する「MODSIM」、そして最上位層に位置する「AI」を組み合わせた3階層構造の戦略を提示しています。
この戦略は単なる概念的な提示にとどまらず、実際のエンジニアリング開発体制の配分にも直接反映されています。基幹技術である物理解析精度の向上を担保しつつ、AIやプラットフォーム統合による次世代の設計環境の構築を強力に推進していく姿勢が示されました。
何が発表されたのか:SIMULIAの次世代ブランド戦略
ダッソー・システムズは2026年9月11日、シミュレーションブランド「SIMULIA」のユーザー向けコミュニティーイベント「SIMULIA Community Conference Japan 2026」を開催しました。
同イベントの基調講演には、Dassault Systemes SIMULIAブランド 最高経営責任者(CEO)を務めるMichelle Ash(ミシェル・アッシュ)氏が登壇。「SIMULIA Brand Insights」と題された講演の中で、最新のブランド戦略および中長期的な技術ビジョンが詳しく説明されました。
講演で明かされたSIMULIAブランド戦略の中核をなすのが、以下の3つの階層構造です。
- 最上位層:AI──人工知能領域
- 中間統合層:MODSIM──それを統合する領域
- 基礎層:物理ソルバー──基礎となる領域
SIMULIAブランドの戦略を構成する3つの階層構造として、基礎となる「物理ソルバー」、それを統合する「MODSIM」、そして最上位の「AI」が紹介された。

確認済みの具体情報:強化される物理基盤と開発リソース
最上位にAIを戴く構成でありながら、その価値を最大限に発揮させるための土台となるのが「物理ソルバー」です。今回の発表では、同社の物理基盤を支えるソルバーとして「Abaqus」「PowerFLOW」「CST」「Simpack」「Wave6」が挙げられている。
ダッソー・システムズでは、研究開発部門に所属する約800人のうち半数に当たる約400人が物理基盤とソルバーの強化に従事している。さらに、同社は約150人の人員を投じてMODSIMの機能強化を進めている。
なぜ重要か:設計と解析の境界をなくす「MODSIM」と将来構想
従来の製品開発現場では、CADを用いた「設計(モデリング)」と、CAEを用いた「解析(シミュレーション)」が分断され、データの受け渡しや手戻り作業が発生しやすいという課題が存在していました。「MODSIM」は、これらのプロセスを同一の統合環境下でシームレスに結びつける概念であり、開発期間の大幅な短縮と製品品質の向上を実現するために欠かせないアプローチです。
さらに同社は、複数のバーチャルツインをシームレスに結び付け、製品のライフサイクル全体を1つのユニバースとして捉える長期ビジョンとして「3D UNIV+RSES」構想が言及された。
利用者・エンジニア・企業への影響
今回の戦略とリソース配分から、シミュレーションソフトウェアを活用する企業やエンジニアには以下のような具体的なメリットと方向性が示唆されます。
- 計算精度と信頼性の更なる向上:研究開発人員の半数がソルバー基盤の強化に注力していることから、極めて複雑な物理現象に対する計算精度や処理パフォーマンスの向上が期待できます。
- 設計フローの効率化:約150人体制で強化が進むMODSIM環境を利用することで、設計エンジニア自身が早期段階から高度な解析を取り入れやすくなります。
- AI活用への確実な足場づくり:基礎となる物理データの正確性が保たれることで、最上位層にあるAI技術を活用した際の予測精度やデータドリブンな設計支援の信頼性が高まります。
未確定点・今後の見通し
現時点で確認されている情報は、イベントで公表されたブランド戦略の基本構想および研究開発部門の人員配分体制です。各物理ソルバーの具体的にどのバージョンでどのような新機能が実装されるのか、あるいはAI機能の具体的な提供スケジュールやライセンス体系などについては、今後の公式発表を待つ必要があります。
まとめ
ダッソー・システムズは2026年9月11日、シミュレーションブランド「SIMULIA」のユーザー向けコミュニティーイベント「SIMULIA Community Conference Japan 2026」を開催した。SIMULIAブランドの戦略を構成する3つの階層構造として、基礎となる「物理ソルバー」、それを統合する「MODSIM」、そして最上位の「AI」が紹介された。物理基盤を支えるソルバーとして「Abaqus」「PowerFLOW」「CST」「Simpack」「Wave6」が挙げられている。研究開発部門に所属する約800人のうち半数に当たる約400人が物理基盤とソルバーの強化に従事している。同社は約150人の人員を投じてMODSIMの機能強化を進めている。


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