国産LLM「Sarashina」シリーズ初の思考モデルが登場
ソフトバンク子会社で国産AIの開発を手がけるSB Intuitionsは2026年10月29日、同社がゼロから開発を進める大型言語モデル(LLM)「Sarashina」シリーズとして、初となる思考モデル「Sarashina3.2 mini thinking」を発表しました。本モデルは、回答を生成する前に思考プロセスを挟むことで複雑な処理や精度を向上させたモデルです。
現在、同モデルは無料ベータ版として展開されている「Sarashina service」を通じて、API経由で利用可能な状態となっています。
発表された主要機能とAPI連携の仕様
今回公開された「Sarashina3.2 mini thinking」における技術的な特徴と、API提供に伴う主な仕様は以下の通りです。
思考深度を制御する「reasoning_effort」パラメータ
API連携において、開発者はリクエスト送信時にreasoning_effortというパラメータを指定することができます。このパラメータには「low」「medium」「high」の3段階が用意されており、用途やタスクの難易度に応じてAIの思考プロセス(思考の深さ)をコントロールできます。これにより、応答速度を優先する処理から、深い思考が必要なタスクまで柔軟な調整が可能です。

強化学習の導入による検索性能と安全性の向上
モデルの事後学習(post-training)段階において、新たに「強化学習(Reinforcement Learning)」の手法が導入されました。これにより、Web検索を活用した情報収集・回答能力が向上したほか、モデルの安全性が強化されています。
具体的な安全対策として、危険なコンテンツを含む応答や不適切な再現手順の提示を適切に拒否する仕組みが組み込まれています。その一方で、危険性のないその他のクエリに対してはWeb検索情報に基づいた適切な回答を行うなど、安全なチャット対話と実用性を両立させています。
開発者・企業にとっての意義と影響
「Sarashina3.2 mini thinking」の登場は、国産LLMにおける「思考モデル(Reasoning Model)」の活用を加速させる要素を含んでいます。
タスクに応じた制御性
従来の言語モデルでは一律のレスポンス時間と精度で出力される傾向がありましたが、思考深度を3段階で明示的に制御できる仕組みにより、システム構築時のレスポンス時間や精度の最適化が図りやすくなります。
高い安全基準とWeb検索連携
AIを実際のサービスに組み込む際、不適切な情報の生成や危険なコンテンツの出力はリスクとなります。事後学習の強化学習によって適切な拒否動作とWeb検索情報の提示が整理されたことは、エンタープライズ領域や公開Webサービスにおける安全なAI運用の観点からもメリットをもたらします。
今後の展望と未確定な要素
現時点で「Sarashina3.2 mini thinking」は「Sarashina service」の無料ベータ版として提供されています。今後、正式版へ移行した際の利用料金体系や、他のモデルサイズ・シリーズへの展開計画などについては、現時点で公式な発表は存在しません。
まとめ
2026年10月29日に発表された「Sarashina3.2 mini thinking」は、国産LLM「Sarashina」シリーズの機能を思考プロセスと強化学習によって進化させたモデルです。APIを通じて思考深度を3段階で設定できる点や、検索機能・安全性の両立は、今後の国内AI活用の現場において重要な足がかりとなります。


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